調べたことをまとめます

ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ ― 岡嶋 裕史

資産運用について友人と話していた際に、ビットコインがなぜ複製や改ざんの不正ができないのかの話になり、全く分からないことに気づいたので、ブロックチェーンに関する本をいくつか読んでみました。

その中で、上記の問いに対する答えが最もよくまとまっていたので本書の内容を紹介します。(情報系は専門ではないため不適切な理解をしている可能性があります。)

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ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ

 

ビットコインのデータには、過去の全ての送金情報が記録されている。(これがブロックチェーン
・ある者が送金を依頼した後、マイナーによってあるブロックから次のブロックに繋げるための計算をする。これがいわゆるマイニング作業。(この計算の概略を話すと2章くらいの長さになる)
ハッシュ関数を使ってハッシュ値を求める。これは現実的にはハッシュ値から元の値は計算できない。(天文学的な時間がかかる)
・次のブロックには一つ前のブロックのハッシュ値が組み込まれているので、組み込まれたハッシュ値と、その前のブロックから計算されるハッシュ値が一致していないと不正となる。(この確認こそがマイニング作業)
・マイニングには時間がかかるが、あるブロックだけ改ざんしてもその前や後ろのブロックとの整合性が取れないのでそれらも計算しなければならない。しかしブロックチェーンには過去全ての取引が記録されているので全てを改ざんするには膨大な量の計算が必要、つまり実質的に計算不可能となる。
・最後のブロックだけ改ざんしても、そのブロックをマイニングしようとしても整合性が取れないので次のブロックが繋げられない。
・次のブロックが繋がらない(短いままの)ブロックチェーンは無効になるため、やはりこの方法でも不正出来ない。
・6個先のブロックまで計算されないと取引が有効にならない。6回の正当性の確認(承認)を得て初めて確定する。
・だからビットコインのようなメジャーで比較的歴史あるコインでは不正出来ない。
逆に、めちゃマイナーなコインで国家規模の圧倒的な不正集団が計算すると不正を働いた長いブロックチェーンを生成できるらしい。(2018年にモナコインであった事件らしい)
・ちなみに、ビットコインの開発者であるサトシ・ナカモトの素性は未だ謎であり、サトシ・ナカモトは100万ビットコイン(2021年現在のレートで約3〜7兆円、ビットコインの発行上限2100万BTCの約4%)を保有しているが使われたことが無い。
・サトシ・ナカモトは野獣先輩並に〇〇説があるが、Winnyを発明した日本の天才、故・金子勇がその一人であるのも興味深い。

 

ポイントとしては、改ざんできないのではなく、改ざんするには天文学的な時間がかかる、ということなので、量子コンピュータがある日突然開発されて1億年かかっていた計算が1億分の1秒でできるようになってしまうと前提が崩壊する。これは国家のセキュリティとかも全部そうだけど。。

全体を通してかなりわかりやすい説明ではあったが、デジタル署名の公開鍵の説明はちょっと分かりにくいので、基本情報技術者などの教材などを見た方が分かりやすいと感じた。