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調べたことをまとめます

人生に疲れたらスペイン巡礼 小野美由紀

スペインに旅行へ行った時に下調べで読んだ本(結果的には普通のスペイン旅行にはあまり役に立たなかった)。

カトリック大巡礼路の一つ、カミーノ・デ・サンティアゴでの巡礼について書かれている。ヨーロッパはもちろん、様々な国の人がやってくるこの巡礼路。やるべきことはただ一つ、「歩くこと」。100kmから証明書をもらえ、全ルートは800km。ガリシア地方にある大聖堂を目指して、ひたすら歩く。信仰を問わず、誰もに開かれているこの道の醍醐味を語った一冊。

巡礼手帳を持っていれば巡礼路沿いに点在する格安の巡礼宿に泊まれ(なんと一泊5~10ユーロ)、格安で旅を楽しめる。世界中の人々と、巡礼という一つの目的を通じて知り合い、様々な人生観に触れられる。何とも楽しそうなお祭りだ。

 

筆者はブロガーやコラムニストでもあるらしく、写真も多くサクッと読める本になっている。内容は3部構成で、第1章は、なぜ巡礼なの?キリスト教徒じゃなくても大丈夫?英語やスペイン語の準備は必要?などの巡礼の概要、第2章は著者の体験談、第3章はいざ巡礼となった際の旅の準備と、ついでに見て周れるイベントや観光地、現地で食べられる料理などが紹介されている。

中でも情熱が感じられるのは第2章だろう。自称メンヘラの筆者が、会社員時代にパニック障害に陥り通勤電車にも乗れなくなった状態から、巡礼を通してどれだけ救われていったかが書かれている。巡礼の間、色々な人に尋ねられる「あなたはなぜ歩くの?」という問にも最初は答えられなかったが、最後は筆者なりの答えを出す。旅に全ては持っていけない。旅を続けるうちに荷物が減っていき、それでも残った物が本当に自分に必要なもの。

 

筆者がこの巡礼を通して出会った人との名言や、面白い会話を一部紹介する。

自分の家族や人生の悩みを解決していない人間は、たとえ大企業の重役に就いていても「あいつはマオ・レゾルビーダ(未解決の人間)だからな」と言われ、ブラジルでは信頼されない[1]。

サンパウロの大学を卒業し外資系企業でマーケティングの仕事をするエリートブラジル人のマルコスの言葉

会社の同期と競い合って少しでも良い評価をもらうことや、素敵なパートナーに巡り合うこと、そういうことを目指してたどり着いた場所は、自分が望んでいた場所ではなかった。自分が何になりたいかを決めて、それに向かって行動しなければいけない。

―障害者向けのセラピストをするアメリカ人の元証券会社勤務キャリアウーマンのリタとの会話からの筆者の気づき

 

確かに、パニック障害になって仕事をやめて、スペインで巡礼の旅をしたらさぞやドラマティックで充実した人生だろう。しかし多くの人は日々の不満はあっても分かりやすいドン底にはなかなか落ちないし、奇跡的な救いもない。スペイン巡礼に行かなくとも周りに相談できる仲間はいるし、自分が何をしたいかもある程度分かっている。

そういった人には巡礼は必要ないのだろうか?と思ってしまうけれど、それでもスペインの田舎料理とワイン、世界遺産建築や見渡す限りのひまわり畑などの絶景が楽しめるヨーロッパ旅行が一日15ユーロ(2000円弱)で出来るのは大変魅力的だし、巡礼路にも点在する古城や宮殿を国が買い取ってホテルにした「パラドール」にも泊まってみたい。辺り一面のワイン畑をつっきって歩いてみたいし、蛇口を捻ればワインが出て来るイラーチェの修道院[2]も行ってみたい。そう考えると、別に自分探しや人生のリセットという目標がなくとも、普通に面白そうな旅路に思える。

 

そうは言ってもきっかけが無いとなかなか巡礼に行こうとは思わないが、自分もいつか人生に疲れ切ってもうだめだという日が来たら、カミーノ・デ・サンティアゴを巡礼してみようと思った。

 

 

参考文献

[1] 体罰について | 世界1年生 小野美由紀のブログ (この本の筆者のブログです)

http://onomiyuki.com/?p=1979

[2] ワインの泉 イラーチェ修道院  世界遺産 – playsnews

http://playsnews.com/travel/europe/spain/post-2560/