調べたことをまとめます

国債って何?国の借金があることは良くないこと?

国債って何?と聞かれてまともに一対一の回答が出来なかったので、自分なりに調べてまとめました。


まず準備として、硬貨と紙幣の違いを考えます。

硬貨は日本政府が発行する「政府通貨」です。 [1]

硬貨の表には日本国と書いてあります。(日本国と書いてある方が表と言うこともできる。ただし5円玉のみ裏側。)
昔の通貨は硬貨のみでした。ローマ時代にはローマ金貨があり、ローマ帝国つまり政府が金貨を鋳造していました。
このように金を通貨価値の基準とする制度を金本位制といいます。金が貴重なため銀が金の代わりだった時代もあるらしいが、 [5][6]
大航海時代に大銀山が発見されて大量の銀が出回った結果ハイパーインフレが起こったこともあるらしい。[ただし銀の話は出典が曖昧なので話半分]

そういう訳で硬貨は金本位制時代からの文化であり、材料としての価値がある金属で硬貨は作られる。そのため硬貨の損傷や鋳潰しは法律で禁じられている。
また現代では硬貨はあくまで補助貨幣であり、21枚以上の硬貨による支払いは拒否することができる。


紙幣は日銀が発行する「銀行券」です。紙幣の表には日本銀行券と書いてあります。

銀行券はお金の金貨の預り証が起源です。
経済が発達し貧富の差が大きくなっていった際に、大量の硬貨は持ち歩くには重く、強盗などのリスクが生じました。
そのため金持ちは警備のある金庫に硬貨を預け、引き換えに預り証を受け取るという仕組みができました。
やがて金持ちはこの便利な預り証で売買を行うようになります。食材を買いに行った時も預り証を店主に渡します。
店主は好きな時に受け取った預り証を金庫に持っていけばいつでも硬貨と交換できるという訳です。
現代ではこの金庫番の役割を銀行が果たし、預り証は銀行券になっています。

このように、銀行券である紙幣を発行するには裏付けとなる資産が必ず必要となる。金本位制ならば同等の金が必要。

金本位制は非常に分かりやすいですが、社会が発達するにつれて問題点が出てきたため、管理通貨制度というものに変わっていきます。
その変遷について2つの説明を見つけました。どちらもそれっぽい説明なので両方紹介します。


・説明1
国際的な貿易が盛んになると、貿易赤字によって紙幣が海外へ流出する国が現れた。

銀行券である紙幣の流出は金の流出を意味するのでいずれ経済に悪影響が出るようになります。
[この原理は直感的には理解できるけど、なんか納得いかない。]
このため金とは無関係に紙幣を発行できる「管理通貨制度」ができました。

管理通貨制度では国債が裏付けの資産となります。
日銀が国債を民間銀行から買い入れて日銀券(紙幣)を発行します。


・説明2
金本位制では、銀行券の発行枚数が、銀行の手持ちの金貨の量によって制限されてしまう。
一応、大きな社会では金貨を一斉に支払うということはないので金の保有量よりも多くの銀行券を発行することが可能だが、
どこまで手持ちの金よりも多く銀行券が発行できるかの線引きは難しい。
多くし過ぎると預金の引き出しに対応できず、恐慌が起こってしまうし、少なすぎると実態経済によって日々の取り引きのために必要な銀行券の量を賄うことができず、
それによって経済成長が阻まれてしまう。
こうした事態を避けるため、通貨の発行量を銀行の保有する金の量によって決めるのではなく、
中央銀行を中心として、人為的に管理しようとした制度が管理通貨制度である。

管理通貨制では、各銀行が勝手に銀行券を発行するのではなく、中央銀行が発行する銀行券のみが認められている。 [4]
金本位制では金の量によって銀行券の流通量が制限されたが、管理通貨制では市中銀行中央銀行から借り入れているお金の量によって制限される。

 

国債についての説明は満足しました。ここで、国債と言えば国の借金のことであって、国の借金があることは経済的に良くないことなのだ、と聞いたことがあるので、

それについても本当かどうか調べてみました。

 

日本の借金というのは基本的に国債であり、 [2] 日本国債は日本人や日本企業にしか販売されていない。
ある意味で安定と言えるが、借金である以上返済すべきなのだろうか?
例えば、逆に他国にお金を貸す立場であった場合、国として優位に立てるはず。

しかし、日本にお金が余っていたバブル期でさえ、借金返済を繰り上げなかったことからも [要出典。気が向いたら調べるかも。]、国の借金は意図的なものがあると想像できます。

国の借金の必要性について通貨の流通の面から説明した面白い例を見つけたので紹介します。 [3]

 

-----(引用)------

借金があった方が良いです。
経済には借金が必要で、日本の問題は借金不足です。

お金の流通を考えないといけません。
仮に質問者様に1000円の収入があったとします。
ここから質問者様が100円を貯蓄し、麦を900円で購入すると、麦生産者に900円が移動します。
ここから麦生産者が100円を貯蓄し、肉を800円で購入すると、肉生産者に800円が移動します。
ここから肉生産者が100円を貯蓄し…という事を繰り返すと、経済で流通するお金が常に100円ずつ減少してしまいます。
収入の全てを消費に使う人は少なく、貯蓄した分だけ国民の収入が減少していくという事です。

このため貯蓄を預かる銀行は、国民の預金を誰かに貸して使わせていて、これにより経済で流通するお金が維持されます。
預貯金が0円の国民も多いですが、貯蓄は預金だけではなく、保険料や年金もそうです。
保険会社に支払う保険料は、最終的に払い戻す必要があるので消費に使う事は出来ず、預かっているだけです。
消費に使われていないお金は全て貯蓄で、保険会社は預かっているお金を誰かに貸すなどして運用しています。
この貯蓄したお金を借りて消費する人がいなければ不景気になる事がわかります。

-----(引用終わり)-----

 

非常に理路整然としていて分かりやすい。

というか、金本位制から管理通過制度への移行の説明2で言ってたことと同じことを言っているなぁ。そういうことだったのか。
国債を減らして国の借金を減らすことが、必ずしも良いこととは限らないんだなぁ、というのが今日の一番の発見でした。

終わり。


参考文献など

[1] 硬貨と紙幣の違いは 政府通貨と銀行券の違い - ネコでもわかる経済の話(2)
https://sites.google.com/site/nekodemokeizai/nekodemo2/kouka_shihei

[2] 日銀がお札を刷ると「儲かる」のか? – 磯崎哲也 – アゴラ 言論プラットフォーム
http://agora-web.jp/archives/954692.html

[3] 国債を返済するために、紙幣をどんどん刷ればいいのではないですか... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13107674293

[4] 管理通貨制度とはなんですか?金本位制と何か関係があるのでしょうか?教え... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1240387417

[5] 金本位制 - 金融用語辞典 - 金融大学
http://www.findai.com/yogo/0288.htm

[6] 金本位制ってなんですか?銀本位制っていうのも... - 日本史 - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12117335747


ここまで列挙して、ネットのコピペだけじゃなくて本も読もうと思った。
直接引用した部分以外もほとんど文献からの切り貼りです。